宇宙の話をする人

私には佐倉繁さんという素晴らしい先生がいた。

東邦音楽大学特任准教授だったが、去年亡くなった。


私のいた専門学校にも講師として来ており、私が1年生の頃、先生は2年生の音楽理論やアナリーゼ的な授業を担当していた。


本来なら私と佐倉さんには接点がないはずだったが、仲良くしていた先輩の薦めと佐倉さんからの招待もあって、私はひとり、2年生の授業に出席することになった。


少人数制の授業で、私以外は2年生の生徒たち。黙って聞いていれば終わるタイプの授業ではないので多少緊張はしたが、始まってみれば佐倉さんの話し方には無駄がなく、聞きやすかった。


その頃の私はまだトライアドのコードがやっと読める程度だったので、佐倉さんのテンポのいい演説やほとんどが英語の板書について行くのは度々苦しかった。

しかし彼はとても頭が良くて(私が言っては失礼すぎるが)、ほかの先生たちとは違って私が何につまづいているのかをすぐに見抜き、ヒントをくれた。


そんな授業も最終回の日、佐倉さんがホワイトボードに自身の連絡先を書き出し、『卒業後、君たちと語り合えるのを楽しみにしているよ。いつか宇宙の話をしよう』と言った。宇宙とは佐倉さんがよく使う表現で、音楽のことだった。



卒業してから8年ほど経つ。


私は連絡など取っていなかった。彼にはまだまだ追いつけない。挨拶をしに行けるほどの技量なんてまだ持っていない。そんな想いがあった。


しかし佐倉さんは亡くなってしまった。

私の成長は、彼の命の速さに追いつけなかった。


葬儀はバンド機材を持ち込んでの音楽葬で、spainやAutumn Leavesなどセッションの王道曲が延々と演奏された。演奏していたのは在学中お世話になった、他の先生たちだった。外は今日のような強い雨の日だった。


泣いている人、悲しんでいる人が大勢いた。それだけあの先生は多くの人に慕われていた。


私も悲しい気持ちはあった。

しかし、落ち込んでいてはきっと先生が鼻で笑うだろう。生きている彼に追いつくことはもう出来なくなってしまったが、彼が最期に示した場所まで急ぐことが、生徒としての敬意の示し方だと思う。


なのでこんなブログを書いていないで、楽典でも開かないといけない。


【New!】

 

2020.10.26

ORDERページを再掲載いたしました。

ご発注・ご依頼の参考にしていただけます。

 

2020.9.02

新規作成した絵を掲載いたしました。TOP画像およびGALLERYでご覧いただけます。

 

2020.9.02

演奏事業の再開・中止に関する最新情報を更新いたしました。詳細はNEWSにて。

 

2020.6.18

ORDERページ(注文参考情報)を現在非表示にしております。編集完了次第 再掲いたしますが、それまでの間につきましては料金等 直接お問合せください。

 

2020.4.15

コロナ感染拡大防止のため、4月・5月・6月の各種イベントと演奏業が中止・延期になります。NEWS

 

2020.4.4

▼食育スペシャリスト中村詩織さんに制作のご依頼をいただいたLINEスタンプが販売開始いたしました!

▼イラストメイキング動画のYouYubeリンクを追加いたしました!

どちらもLINKからご確認いただけます。

 

2020.4.4

コロナ感染拡大防止のため、4月に予定しておりました各種イベントを中止・延期とし、該当宣伝ページを削除いたしました。騒動が収束次第、改めて設定と告知をいたします。NEWSに掲載中のイベントは現在のところ開催予定となっております。

 

2020.3.6

プラネタリウム朗読会への出演情報、マンドリンオケへの出演情報を追加致しました。

詳細はNewsへ。

 

 

2020.1.28

新作イラスト「雪」を追加いたしました。

※デジタルイラストへ更新

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